きのう、何してたかな。

猫好き、山好き、本好き、映画・ドラマ好き。トドメは食いしん坊OLの、平凡な記録です。

たしかに。

 

久しぶりにゆっくりと読書をした。

読書をせねばならなかった、と言ってもいいか。

 

勤め先の会社の社長はエライ読書家で、私が以前出版社にいたことを知ってか知らずか、次から次へと本を貸してくださる。時には新聞記事の切り抜きを渡されることもある笑。

自社の社員というよりこれってただの、本の話ができる、読書友達だと思っていないか?!と思えてしまうのだけど…。

ただの友達ならまだいいが、これが社長となると話は別で。

しっかりとした感想をつけてお返ししないといけない地獄が待っている。

 

ちょっと前に、わざわざ社長室に呼ばれて「これ、君好きだと思うよ。返さなくていいから持って行って」と、本を渡された。そのお借りした本(返さなくていいって言ってもね、返さないとなんだか落ち着かない笑)を早く読まねばと、この週末に読み始めた。

読み始めて数分で、驚いた。

すごい…、すごい、良い本!すごい作品じゃん!!

1日とちょっとで一気に読んでしまった。

山本昌代著『朝霧』という、26年前に講談社から発行された小説(群像と文藝に収録されていた作品3作)で、

私も含め市井には映画『居酒屋ゆうれい』の原作者として知られている。

この方の小説、初めて読んだのだけど、、、素晴らしいと思う。

読み始めるとすぐ、この人の文体は、外国文学を読んでいるようで、ちょっと村上春樹にも似た空気を覚える。恐らく、英文学に慣れ親しんだ人だろうなあと気づいたが、やっぱりそうだった。外国文学のようだと言うと、以前読んだ佐藤亜紀さんにも感じたが、それとはちょっと空気が違う。もうちょっと女性的で嫋やかな感じというのだろうか。

文章のテイストや内容は、春樹さんのような、小川洋子さんのような、山田太一さんのような、淡々と、幽玄的な世界を、さも目の前にあるかのようなリアリティを帯びて描かれている。あっさりしているようだけど、文の隅々に楚々とした品があり、読後はすっと爽やかになる。

物語を通して、既視感というのか、自分自身の過去の記憶と想像が綯交ぜになったような、不思議な感覚が得られた。

なんで、今まで知らなかったのかな…?、もっと若い時に知りたかったと悔やまれる。

20代の若い時に読んでいたら、もっと感受性も豊かで、受け取り方も新鮮で、多様で、価値観が変わるくらいなショックを受けていたのかもしれない。うう惜しい。

本の世界はほんとに広くて深い。果てがない。

読書マニアの社長のお陰で、好きな作家が一人増えた。

さすがです。ありがとうございやした。