きのう、何してたかな。

猫好き、山好き、本好き、映画・ドラマ好き。トドメは食いしん坊OLの、平凡な記録です。

映画鑑賞。

 

金曜日のこと。

今週は、山がないため、ようやく家の用事を片付けることができて息がつけた。

山がない週って、こんなに(準備することがなくて)穏やかに過ごせるのね!

ホッとしたついでに、のんびり遊びたいなと思いつき、夜OLの勤務も友人社長にメールして別日にずらしてもらい、帰りに映画を観ることにした。

 

遅ればせながらの「万引き家族」である。

一見、普通?の家族の日常を切り取りながらも、鑑賞者にじわじわと、ひっそりと、世の中の毒を流し込まれ、気づいた時には、麻痺したように、身動きが取れないもどかしさや遣る瀬無さで胸がいっぱいになる。正面切って、社会が悪い、あなたが悪い、国が悪い、と暴力的に投げつけるのではなくて、平穏な暮らし、静の中でも潜んでいる闇や哀しみの存在を鑑賞者自らに気づかせ、心寄り添わせる作品だった。是枝監督らしい映画だと思った。

内容が内容だけに、素晴らしい、感動した!とは言い辛いものはある。

昨今の日本で起こっている哀しい事件にも共通することだけど、豊かだ、金持ちだと言われている国ほど、貧富の差は激しくて、隅へ追いやられてしまった人たちの闇も深い。この映画で扱われている「犯罪(万引き以外にも色々ある)」も、その行為自体は罰に値するものではあるが、何故、その犯罪を犯さなければならなかったのか、どうしてそうなってしまったのか、というその人の人生、その人を追い込んだ社会の背景というものを、もう一度、社会全体で見つめ直す必要があるのではないかという問題定義がされているのだと思う。種類は違えど、難民問題や失業問題を抱える欧米諸国も然り。人種が違っても、どこかしらで共感しているからこそ、身につまされたからこそ、カンヌで評価された理由もそこにあるのだろう。

それにしても、安藤サクラは演技が上手い。義父の柄本明が出てきたときは、「おおっ」と声にだしてしまった(笑)。樹木希林も言わずもがな。

あと、この映画は伏線を臭わせるようにして、あえて回収しない、という技にも恐れ入った。伏線&回収をきっちりする韓国ドラマばかりを最近見ていたせいか(それはそれですっきるするので好き)、なるほど、「あれ」や「これ」を軽々しく口に出さないこと、それがリアリティだよなあ~と感嘆した。(あとから、原題が「声を出して呼んで」だったと知って大大大納得。)

1800円出しても惜しくはない。