遅ればせながら、「君の名は。」を観てきたので、忘れないうちに感想をひと口。
出会うはずのない二人が、時間を超え、場所を超え、出逢うお話。
「時をかける少女」と「転校生」と「君の名は」のエッセンスが上手く掛け合わされたような作品だった。
ジブリイズム、押井イズムを感じるような場面が多々あると思ったら、それもそのはずで、ジブリや押井さんのところで活躍している優秀なアニメーターや監督さんたちが制作に加わっていたから。映像も美しかった。特に私は東京の街に白雪が降りかかる景色が綺麗だなあ~と眺めてしまった。
このお話のテーマは、「結ぶ」。縁を結ぶ、時間を結ぶ、三つ編みを結う。髪を結う。組み紐を結う。至る所で結ぶことが表現されていた。
主人公の少女の住んでいる町はその名も「糸守町」。代々神社に生を受ける彼女の母も、祖母も、少女の頃に誰かと身体が入れ替わる、不思議な体験をしている。
2つに割れた彗星が、町に落ち、大きな犠牲を伴う。そんな悲劇を防ぎたくて、町の人を守りたくて、糸守の神様は、神事に仕える娘たちに危機を知らせていたのかもしれない。人々と神様が共存し、お互いを守リ合うという姿が、とても切なく、けなげに見えて、涙がぽろぽろ流れてしまった。
そして、そもそも2つに分かれてしまった彗星も、先に落ちた片割れに逢いたくて、逢いたくて、逢いに来たのかもしれない。瀧と三葉の縁も、彗星の縁も、すべて円環のひとつ。
結ぶはひとつの縁=円なのだ。
作中の音楽も、すべてRADで統一されていたのは、私はよいと思ったけど、
人によってはうるさすぎる、と感じた人もいたようだ。私は、セリフがない場面でも、野田くんの詩が彼らの心情を表していたりして、とても分かりやすくリードしてくれていたと思えた。お子さんにとってはこのくらいあってもいいんじゃないかなと。
演者の神木くんと市原えっちゃんはもちろん、三葉役の上白石さんもよかった。それに、長澤まさみが上手い!声にトゥルトゥルの艶がある。本職の声優さんだと思っていて、途中まで気づかなかった。
賛否があるようだけど、私には、老若男女が楽しめる、とてもいい作品だと思う。