ここ数年、往復の通勤は勉強の問題集などを常に読み込むようにしていた。
だけど。
もうこういう生活が、嫌になっちゃったので、このところは普通の小説に替えている。
自宅には読む本がなくなってしまったので、
先日実家に帰った際に、母が入院中に読んでいた本が積まれた山から適当に持ってきた。
井上ひさしの『十二人の手紙』
これ…。
色んな意味で、そうとうヤバイ。
まず内容。
軽やかな文体から始まったかと思いきや、
一話一話が、重いし、辛い!!!
まあ総じて面白いのだけど、その数倍の哀しみがどわーーーっと訪れる。
昔は、こんな立場の人もたくさんいたであろうと思うから、
ちょっと可笑しい悲喜劇で収まるのだろうが、
今の人にはちょっときつすぎるわよ…。
登場人物の娘たちが、不幸を通り越して、人生そのものが哀れでならん。
あさイチからこれを読むのは正直辛かったぁ…。
そして、この小説のロジック。
すべてを「往復書簡」という形で物語を推測させるってすごいな…と感心した。
その中でも「赤い手」は、すべて公的証明書だけを羅列するだけで、
一人の女性の一生を想像させるというものであり。
ほんとにお見事、井上ひさし!とため息が出た。
演劇の人ならではの発想なのかもしれないね。
ただ読後感が私にとっては非常に悪くて、久しぶりのしんどい読書だった。
そして一番すごいなと思うのがうちの母よ。
入院中によくこんなの読んでたな!メンタル強っ!