きのう、何してたかな。

猫好き、山好き、本好き、映画・ドラマ好き。トドメは食いしん坊OLの、平凡な記録です。

本と人。

 

コロナ前から母から借りていた本を読み終えた。

朝井まかて『類』

494項のなかなかの厚みのある本だから、試験中に読むわけにもいかなくて放置していた。

森鴎外の末子、森類。不肖の子、類。

類の視線から描いた森家の話。

見知っていた森家からはまた違った姿が垣間見えてとても面白かった。

特に茉莉。元々森茉莉の作品は好きで読んでいたけど、この人を更に好きになった。

茉莉の作品について類が評する言葉にも、胸を打たれた。

「言葉が豊穣。色と匂いと音とが誌面から立ち昇り、己がそこにいるかのように景色が見える。」作家冥利に尽きるとても光栄なことばなのじゃないかな。

後半では、類の書いた作品が物議を醸し姉弟の絆にひびが入ってしまうのだが、それでもお互いの才能を尊敬し合う姿はさすがだと思った。

そして、「森鴎外」の威光が当時、どのくらい凄かったのかというのもわかった。

さすが、鴎外。鴎外の子供として生まれた幸福と、見えない重圧に苛まれる不幸。

そんな宿命を背負った4人の子供たち。結局4人ともが何者かになっているのは凄いと思う。さすが、鴎外の子供たち。

 

私が鴎外を知ったのは、小学校2年生頃。

祖母の葬式を、鴎外の眠る三鷹禅林寺で行ったからである。

大人たちがせわしく通夜の支度をしている中、子供たちは母に連れられ境内の墓地に入り、鴎外のお墓参りをした。そのときに「ママが一番大好きで、一番上手だと思う作家のお墓。芥川龍之介が憧れていた偉大な作家のお墓」だと教わった。

芥川龍之介は知っていたので、へえ、そんなに凄い人のお墓なのね、と感心した記憶がある。そこから舞姫山椒大夫を読んで鴎外に親しんだ経緯がある。

 

類と杏奴の作品は読んだことがないのでぜひ読んでみたいと思う。