突然、現代美術が見たくなって、開催されている個展などを調べていた。
私は今まで見た現代美術の展示の中でも、高橋コレクションが一番好きで、数年前にオペラシティーで見た展示以来、ああまた見たいという気持ちが募ってしまった。
この高橋コレクション、精神科医の高橋龍太郎氏の私財のコレクションであるのだが、所有点数2500点以上という国内で最大だという。
コレクションの中には、草間彌生、会田誠、山口晃、奈良美智、森山大道、鴻池朋子等等、今では知らない人もいないのではないかという程大物アーティストの初期の作品も多く所有している。
期間中に鶴岡まで行く時間はないので、今後見られる個展などを調べていたが、残念なことにしばらくはお目にかかれないことが分かった。
ふとここで、コレクターの高橋さんってどんな方なのだろう???と気になって、高橋さんの著書『現代美術コレクター』を購入し、読んでみた。
高橋さんがコレクターになるに至った経緯、アーティストとの出会い、その作品への情熱が溢れんばかりに描かれていた。他にもアートの買い方、保管の仕方など、コレクターになるための指南もあり、この1冊で現代美術との距離がぐっと縮まった気がした。
また、現在、世界のアートシーンの中で置かれている日本の現代アートの立ち位置や、日本の文化政策についての現状や問題点などについての詳細も分かり、色々と自分の中で疑問に思っていたことが腑に落ちた。
例えば、特に現代アートが顕著だけど、全国の公設美術館のコレクションより、個人コレクションの方が、いい作品が多いのはなぜなのか。資金に余裕のあるコレクターが先に押さえてしまっているからなのだろうなと思っていたが、結局は、国の文化予算が少なすぎるため、美術館が常にいい作品を購入し続けるまでに至らないからなのだ。
本によると、2015年の段階で、フランスの文化予算は4640億円に対し、日本は1035億。まあ、文化大国のフランスだもの、日本より多いのは仕方がない。けれど、日本よりも人口の少ない隣国韓国でさえ2653億円を投じているというのは、日本には、文化で国力を上げようという気概はないのだろうか?と疑問に思う。 古城や京都の伝統文化だけでは観光立国は目指せないのではなかろうか。
本を読んでなおさら、コレクションがまた見たくなった。
早く東京で開催されないかなー。
なんで突然現代アートを見たくなったのかなあと思ったら、
毎週見ているNHK大河「いだてん」のオープニングのせいだった。
山口晃さんが街並みを描いているからだった。