きのう、何してたかな。

猫好き、山好き、本好き、映画・ドラマ好き。トドメは食いしん坊OLの、平凡な記録です。

そんなのあったゑ。

 

この前の京都旅行で、

古い建物や街並みを眺めながら見つけた商店の名前を見て、友人が

ヱビスビールのヱってあるじゃん。あれって、ひらがなのゑをカタカナにするとヱになるんだよね」と言っていた。

半分外人みたいな子なのに、日本語にはたいそう厳しく、そして詳しい。

(外国に行くと余計に日本への帰属意識が高まるのだろうか?)

 

ヱを見かけるのは今では、老舗の会社名や商品名くらいかもしれない。

ヱスビーとか、ヱビスビールとか。

あ!あとはヱヴァ、ヱヴァンゲリヲンの「ヱ」でもありますな。

そもそもゑヱは、奈良時代にweと発音されており、エ(e)とは区別されて使用されていたらしい。

万葉仮名では、ヱは「咲」「面」「廻」「恵」が用いられ、

エでは「衣」「依」「愛」「榎」が用いられていたらしい。

ちなみにヤ行のエはyeと発音されており、「兄」「江」「吉」「曳」「枝」「延」「要」「遥」「叡」を用いるなどと、すべて音を区別して使用されていたそうだ。

面白いなと思ったのは、平仮名のゑの字形は「恵」の草体で、片仮名ヱの字形は「衛」の略字体とする考え方もあるそうで。どういう流れからたどり着いたのか、気になるところ。

 

ちなみに、よく社名でも見かける「ヰ」も「ゐ」のカナ。

こちらのゐヰはwiと発音されており、イ(i)とはこちらも区別されて使用されていた。

万葉仮名では、ヰは「井」「位」「為」「猪」「謂」「藍」を用い、イは「己」「五」「以」「伊」「怡」「射」「移」「異」が用いられ、この二つが混同することはなかったそうだ。

こちらの平仮名ゐの字形は「為」の草体、イは「井」の変形からと云われている。

 

歴史で見ると、奈良時代から発生し、鎌倉室町頃にはやや混同して使用されていた。次第に淘汰されていきながらも存在し、昭和21年に公布された「現代かなづかい」以後は現代の発音を反映した仮名遣いが使用され、歴史的仮名遣いにおける「ゐ」や「ゑ」は使用されなくなったようだ。

 

イとかエの発音の多様は、韓国語も同じで、たとえば「얘(イェ)」や「 예(イェ)」「이(イ)」と3音の違いがあったり、「 애((ァ)エ)」と「 에(エ)」の2音があったりする。日本よりも発音が複雑なのだ。韓国では反切表という日本の50音表みたいなものがあるのだが、これは399種の文字が書いてある。覚えるだけで大変である。

だけど、日本の場合は、ひら、カナ、漢字まで含めると莫大だしね…。

シンプルでわかりやすく覚えやすい方のがいいのか、はたまた多様で言葉や発音が豊かになる方がいいのか。どちらも片足突っ込んでいる者としては、どちらも一長一短、面倒臭い面もあれば、美しい、素敵だなと感嘆する面もある。

 

今の若い子たちは、古典の授業で学ぶのかしら?

今は忘れ去られた文字たちも、普段見慣れた「恵」や「藍」の字が、かつては「ゑ」や「ゐ」だったのだなと、愛おしく思えてくる。