韓国ドラマだけど、ドラマ自身の話からは少し逸れる。
先日、友人から韓国ドラマ「月の恋人」(日本だと麗だっけ?)を借りた。
ちょっと前にテレ東で放送されていたのを見たけど、カットカットが酷過ぎて、ちゃんとしたやつがまた見たいなと思っていたら、ちょうど友人がKNTVで録画したものを持っているというのでお借りした。
1話からじっくり見ているのだが、やっぱりカットが少ないものの方が、断然面白い。一見カットしちゃっていいだろうってどうでもいいと思えるシーンにこそ、そのドラマの良さや趣きというか、作り手の隠されたメッセージがあるのだと思う。
だが地上波で、且つ再放送のドラマだから45分以内に収めなきゃいけないのは仕方ないし、苦肉の策のカットということも分かる。あらすじだけ抜粋したドラマ、ということで見るしかない。嫌なら見なけりゃいい、っていうことだろうし。
しかし、やはりカットなしの方が3割増しで面白い。
あと何より驚いたのは、このドラマの脚本家さん?制作陣?の教養の深さ。
カン・ハヌル演じる第8皇子のウクが、IUのヘスの前で詩を書いているシーンがあるのだけど、その詩が、陶淵明の『帰去来』だったことに驚いた!中国の詩人といえば、杜甫、李白が有名だけど、陶淵明も文学者たちからはとても評価されている詩人なのだ。
私はたまたま浅田次郎さんの講演会で、浅田さんがとても尊敬している詩人だということで『帰去来』、『陶淵明伝』も読んでみて、初めて知ったのだが、そうそう国文学卒以外の普通の人が知っていることは珍しいと思う。しかも、この『帰去来』という詩自身が、ウクの人生をそのまま投影させているという点にも恐れ入る。ちょっと狙っているのかもしれないけど、韓国の人は、観ている中でこれに気づいている人がある程度はいるってことだよね。でないと、こんな仕掛け、無駄だからしないだろうし。
さすが、受験大国韓国だけあって、基礎教養の幅が広いことに感心してしまう。
韓国のドラマは結構、そういった隠された教養を知れる物が多い。有名な小説や詩の一節だったり、四書を引用していることもある。これを知っているといないのとでは、ドラマの味わいが数倍違ってくることもあるように思える。見る側も試されているようで、もっと小説や詩をたくさん読まなきゃ!という気にもさせてくれる。
昔のように、日本もそんなドラマが出てくるといいのになあ。